静脈注射の仕方
なんか数年ぶりに静脈注射で検索かけたら、上に出るんですね・・・・・・このページ・・・・・・どうしようか。

一応本職だからこういうの書いてるんだけど、基本的にこのサイトあれなので、えーっと、注射だけが目当ての方は下の戻るボタン押さないでくださいね。


・・・・・・では始めます。
基本的に注射とは何かを注入する場合に使われるので、単に針を刺すだけの場合は穿刺(せんし)と言います。
皮下と筋肉ですが、これは結構簡単です(痛い、痛くないかは別として)。
皮下注射の場合は(インスリン打ったりするのとかはコレ)ようは血管以外ならどこでもいいので、お腹でもヒジでも。
筋肉のときは腕とか尻です。

で、嫌なのがこれから説明する静注。
採血の時はシリンジ(注射器のこと)に22Gくらいの針つないだ物、輸液ラインは手の甲とかにトンボ針とかでやります。
とりあえず普通はいきなり人様の手でなく、静脈注射用の手の模型で始めます。
つーか、穿刺テストでも正解の部分が穴あきまくりでラッキーのアレです。
予算不足でそんなんねーよ!!とかの学校も多いと思うので(ウチもなかった)、穿刺練習キットの作り方を説明します。

〜必要なもの〜

1.針(サーフローが良いと思う、無ければピンバイスの細いの尖らせたヤツ)
2.ゴムチューブ(なければストローでも良い)
3.ゴムシート(薄いもの)

全部100円ショップで買えます(針以外、ピンバイスは買える)。
売り場はノコギリとか金槌が売っている近辺です。

とにかく針の持ち方とか関係なく、針の使い方に慣れるのが先決でございます。
最初はゴムチューブにプスプス刺して、次はチューブの上にシートを引いて(擬似皮膚)そこから刺しましょう。
ゴムシート敷くと、結構ムズくなると思います。
針がゴムシート貫通すると、その反動でチューブがズレて外しますよね?
これが、「血管が逃げる」って言われている現象です。
針はまっすぐですが、人間の血管って結構曲がっているのです。
これが右に左にウネウネなら良いのですが、三次元的に曲がりやがるからこまりもの。
更には動脈硬化で部分部分堅くなってたり、もうやわくてボロボロだったりとスゲー泣けてくる場合があります。
更に悪いのは、基本的に病院に来る人なんかじーちゃんばーちゃんばっかなので、そんなんばっか刺さなきゃイカン!!って事です。
現場に出てから泣いて見て下さい。
もう、スンスンと。
・・・さて、そんなこんなで「海の男だ艦隊勤務♪月月火水木金金〜♪」で百発百中になってる・・・かな?
そうなったら、人様の腕を借りてやってみましょう。

モルモットはなるべく注射慣れした人を捕まえてください。
その代わり、次の後輩が来たら否応なく自分が腕を貸してあげてください。
そこまで行っちゃってるってことは、病院実習中とかだと思うのでイラストみるだけで充分かと思うのですが・・・一応説明。

〜用意するもの〜

1.サーフロー
2.駆血帯
3.シリンジ(10mLくらいが良いかな)
4.アル綿

人間使って刺すって事なので、どうにかして入手して見ましょう。
つーか、そういう学校行ってるなら幾らでも揃うような・・・。
何故サーフローを押すか、というとバックフロー(当たり判定)が確認しやすく留置針にシリンジやら輸液ラインやらを接続する練習にもなるからです。
20Gとかの針+シリンジだと、入ったかどうかはシリンジ引いて血が採れるかどうか確認しなきゃならんので面倒。

〜イラストの補足〜

正中静脈に撃つなら、あまり失敗しないような気がします。
だってプクって膨れるし。
それでも絶対失敗すると思います。
何故なら、怖いから!!

 「親の仇」

くらいの勢いで刺さないと、絶対失敗。
ゆっくり刺すと、痛いだけだし血も漏れるし血管も逃げます。
刺す時の角度ですけど、直角が一番痛く無いですが20度くらいが刺しやすいと思います。
持ち方、とかは特に決まりが無いので、自分にあった持ち方を探してみてください。
何で詳しく書かないか、というと練習キットの段階でそーゆーのが確立されてなきゃ困るから、です。
あ、針が血管に命中したら、駆血帯を外すのを忘れないようにして下さい。
圧がかかってるので血管が膨らむのですから、そのまま外したら血がドバーって出ます。

〜失敗したらどうする?〜

考えられるのが、
1.血管を外した
・・・バックフロー自体来ないので、少し針を抜いて(針先だけ皮下に置いてね。全部抜いたらダメ)血管を左手の人差し指で押さえてもう一回刺す。
2.血管を貫いた
・・・バックフローがあったのに、血が全然来ない場合ですね。
少し抜いてみましょう、血がダラダラ出て来たらそこで固定します。
3.血管をカスった
・・・一番ダメな場合です、このチキン。
皮膚がぷく〜っと膨れるので、速やかにアル綿で穿刺部を押さえながら針を抜きましょう。
痛がるようなら、湿布でも貼ってあげてください。
4.それでもダメな場合
・・・針抜いてから、別の膨らんでる血管でリトライ。
多分緊張してると思うので、もう一回手を洗ってください。
駆血も緩い場合があるので、締めなおしてください。おもいっきし。
重要なのが''血管を指先でなぞる''ということです。
出来るだけ真っ直ぐな場所を探しましょう。

〜心得〜

 「刺される人を可哀想だ・・・とか思うな!!」

・・・デス。
もちろん顔には一切出さず、営業スマイルで押し切るのですよっ!!
こっちだってやりたくて2回、とか3回とか4回とか5回とか刺しなおして、なんか7本くらい刺さってるよ・・・とかやってる訳じゃないのですっ!!
(アナタそれはマジどん引きデスヨ・・・)
これからまだ10人くらいブスブスやってかなきゃなんないんだから、なんでささんねーんダヨ!!くらいの毛の生えた心臓と面の皮の厚さは絶対に必須です。
*モチロン、顔には出さないで下さいね。
結局なんで萌えとかナシなのにこんな長文書いてるかと言うと、やっぱり患者さんからの評価のポイントは穿刺の上手い・ヘタだからなのです。
そりゃ一発で入って、なおかつ痛くないゴッドハンドありゃ苦労しないですが、新人なんか絶対そうは行かないですよね。
最初から上手く行くわけはナイです、だけど、そこで失敗してたら先に進めないです(罵声とか浴びても、反省した態度だけとって気にしない方が良いです)。
しょーがねーよさー、だって仕事ってそうじゃん?
とにかく血管に針を刺す事だけ考えてください。
「痛がってるから〜」「なんかオーラがダメだから〜」とかで怯んではいけません。
なんかアレな事をたくさん書きましたが(1/10も書けなかったケド)、学生より就職してからのがすごく辛いデス。
みんなすぐに辞めます。
でも、頑張って見て下さい。
石ノ上にも3年です。

目指せ、吸血鬼!!



・・・・・・って、前回はここで終わりだったんですけど、少し付け足します。
なんだかんだで自分も7年目になり、注射外す事も殆ど無くなりました。

いや、外すんだけどねっ!!
2発目でだいたい入るから、変わってもらう事が無くなったってーか。

他の静脈注射のコツ書いてあるサイトとか本とか眺めてみたけど、まー全くもって役に立たない事しか書いてない書いてない。

注射の本なんか読む必要ないし、そういうサイトも見る必要はありません。
だって、一番重要な事が書いていないからです。

こんな長文を読んでもらったお礼に、最後に絶対注射が成功する、誰がどう刺しても絶対に刺さる、一番重要でどこにも書いていない魔法の言葉を送ります。
それは・・・・・・






 注射の練習をしてください

それだけです。

なんであなたが注射に失敗して、こんな同人作家が萌え絵描くのに飽きたときに作ったページをこんな最後まで読む羽目になっているか、そこまで精神的に追い込まれているのか、その理由は練習をしていないからです

キレイ事なんか言うつもりはありません、あなた絶望的に穿刺ヘタです、だから患者さんから避けられてるでしょ?
もしあなたが学生だったのなら、あの人はちゃんと出来るのにどうして私だけ?とか思ってるでしょ。

もしそう思ってたならメンタル的に負けてるって事だから、数年以内に心が折れて必ず仕事辞めるよ・・・・・・現に辞めた奴がこの文章書いてるもん。
病院変えてから何とか持ち直したけど・・・・・・ってこの話暗くなるね。

本題に戻すと

 注射にコツは無い(患者一人一人血管違う)

 入る注射が良い注射、痛い痛くないなど関係無い


という事。

ぶっちゃけどうしても入らないなら大静脈にカテーテル入れるなり、皮膚切開して血管丸ごと出しちゃえば良いんだしね。
そんくらいの気持ちで良いんですよ、神経に当たろうが何しようが、下手な人ほどそういうの気にして、結果的に神経に当てちゃうんだし。

 血管外科の先生でも、一流のバッターでも、イメージトレーニングは必ずしています。

患者さんの前に立つ前に、必ず素振りでもイメトレでもいいから何かしてください、下手なら尚更です。

確かに血管を捜す技術というのも注射する上で重要ですが、針を決められた位置にコントロールする技術というのを軽んじすぎていると思います。
深く刺しすぎた、とか、逃げられた、とかそりゃ針刺す練習してねーんだから当たり前だろっ!!

自分で自分の事を注射上手いという奴を、私は信用しません。
注射にはコツがあると言う奴も、私は信用しません。
安全で感染を起こさない消毒法や、スタンダードプリコーション、誤穿刺をしない方法なんて存在しません。
自分の技術には謙虚であるべきで、常に上を目指さなければならないと思います。

何万回でも良いから、ゴムチューブに針で穴を開ける練習をするべきです。

私は10年後でも20年後でもそれをし続けるつもりです。

そういう高いところを目指してコツコツやって行くことが、遠いようで近道だと思います。
謙虚さは大事です、本当に。


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